どうも湿気っている。店舗は仄暗く、客の姿はなかった。 挨拶に出た書店主は70過ぎ、痩身の老店主で、同じ暗褐色の、殆どサングラスのような眼鏡を掛け、杖をついていた。 彼は丁重とは呼べぬ仕草で本をカウンターに置いた。すぐ椅子にドサッと腰掛けた彼は…
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