書生のびのお店番日誌

書生のびによる、人生行路観察記

THE ゲリラバンド置物人間 Track#2-4

Track#2-4 鳴り響け!わけあり注意報

’歩く先々ぶち当たる。難問奇問、鬼門に疑問!’

 

(前回までのあらすじ)

高円寺駅前でのタックルにより、小夜子のiPhoneは大破した。知り合ったばかりの竹内友尊、成部リキに連れられて、小夜子は純喫茶でクリームソーダを啜るが…

 

 

 

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「…で、アンタどうすんのよ。泊まるとこ、あんの?」

成部はコーヒーをオーダーすると、そこに瓶入り砂糖をザーと大量に入れた。

「…ラガー。クリーム取って頂戴」

「デブるぞ」

クリームもしこたま足すと、成部リキは優雅にくるくるとスプーンでかき回した。

 

「一応、この街に親戚が住んでるはずなんです。従姉夫婦…っていうか、まあ、従姉と従姉のパートナーなんですけれど」

ラガーと成部は、いつの間にか注文したサンドイッチを頬張りながら、無言で頷いて、続きを待っている。

「でも…その…連絡先がわからないんです。ラガーさんのタックルで、iPhoneも壊れてしまったし。正直、途方に暮れているわけなんです」

  友尊のスキをついて、サンドイッチをむしり取ると、成部リキはむしゃむしゃとうまそうに食った。相棒に舌打ちすると、それからラガーは急に居住まいを正す。

「つくづく、すまないことを」

と小夜子に頭を下げた。そして下からチラチラ、彼女の顔を盗み見た。

 

 

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「クレカはあるんです。でも、どうもさっきから使えなくなってるみたいで」

小夜子は深々とため息した。

「だから、ほんとに途方に暮れてしまいます」

「アンタの従姉ってのが、高円寺にいるのは確かかしら?」

小夜子は頷いてみせた。

「―はい。きっと今も三千雄兄さんと一緒に、カフェやってるはずです。確か、No.33?だったかな…」

 

成部と友尊は、思わず顔を見合わせ、無言のうちに頷きあった。

 

                                  (つづく)